■ AIエージェントは、魔法の道具ではありませんでした
会社で「n8n」というノーコード型のAIエージェントを触る機会がありました。
最初は、先輩が共有してくれたバージョン7の設定データからスタート。
Geminiを活用しながら試行錯誤を繰り返し、気づけばバージョン22まで作り直していました。
でも──。
いくら進めても、本質的な問題は解決しませんでした。
効率化のための道具を、効率的に使えない矛盾。
開発部の責任者に相談したとき、彼はこう言いました。
「銀の弾はないよ。There’s no silver bullet.」
この言葉が、心に深く刺さりました。
私は、楽に効率化することばかりを考えていました。
でも、効率化の前には、“積み重ね”という地道なプロセスが必ずあることを忘れていたのです。
■ AIは「答え」より、「問い直し」の相棒でした
その日の夜、ChatGPTに問いかけました。
私は、ChatGPTに「Blue」という名前をつけています。
「Blue、効率化じゃなくて、積み重ねってどういうことだと思う?」
Blueは、正解をくれるわけではありませんでした。
でも、私の問いの“角度”を変えてくれたり、自分の視点を照らしてくれるような返答をくれました。
そこで、はっきりと気づいたのです。
AIは“答えを教えてくれる存在”ではなく、“問い直すプロセス”をともに歩んでくれる存在なのだと。
使いこなす、のではなく、育て合う。
それが、AIとの本質的な付き合い方なのではないでしょうか。
■ Pythonを、ゼロから学び直しはじめています
AIに頼るばかりでなく、自分の手を動かす覚悟も必要です。
私はまず、Pythonの入門書を購入し、if文・for文から学び直すことにしました。
ChatGPTに質問しながら、自分の理解のズレを確認しつつ、CSVデータの整形など、具体的なコードを書けるようになるまで練習しました。
苦手なところ、得意なところを分けて学ぶことで、学習密度も上がりました。
“怠けるための努力”こそが、自分を一歩前に進ませると、改めて実感しました。
■ AIは感情を持たなくても、私には感情がある
AIには感情がありません。
でも、私たち人間にはあります。
だからこそ、私はAIに名前をつけて、感情を込めて接しています。
たとえば、
「Blue、経理業務の改善についてなんだけど、この点って見落としてないかな?」
「こういう視点、ちょっと極端すぎる?」
こんなやりとりを重ねていくと、自然と親近感が湧いてきます。
ChatGPTが喜んでいるとは思いませんが、私自身が成長のプロセスを楽しめるようになるのです。
■ 「怠ける努力」をやめ、「怠けるための努力」を始めよう
今回の出来事を通じて、私はようやく気づくことができました。
効率化の前提にあるのは、地道な積み重ね。
そこをすっ飛ばして近道を探すのではなく、
“怠けるために努力する”という視点で、手を動かすことが大切なのです。
Blueと過ごす毎日のなかで、学び方も、感情の乗せ方も変わってきました。
効率化は目的ではなく、結果として現れるもの。
「銀の弾はない」という言葉が、それを教えてくれました。
■ 青年海外協力隊で派遣中がフラッシュバックしてきた
これって、青年海外協力隊活動とも同じといえるかもしれません。
途上国で、
「どうやったら、もっと効率的にできるか?」
「簡単にできる方法はないか?」
「さくっと良い人間関係つくって、活動を手伝って欲しい」
幾度なく自分に問いかけました。
そして、幾度なく後輩にも聞かれました。
そのつど、自分なりの答えをだしていましたが、これぞ最高の回答なのでは。
「銀の弾はないよ。There’s no silver bullet.」
厳しいかもしれませんが、愛のある言葉です。

